どんな業種でも、売るだけ買うだけということはありません。
製造業なら原材料を買ってきて、加工して付加価値を付けて高く売るというわけです。
付加価値を付けるフリをして高値で売りさばくのももちろんアリです。
あると思います!
なので、はじめは素人でも、売るときは売り手のココロ、買うときは買い手のココロが分かります。
モノを売り買いする心得が自然と身につくというわけです。
昔見た、八百屋の店主とその見習いはまさにそんな感じでした。
ところが所帯が大きくなってくると、分業のため買うだけ・売るだけが仕事になります。
買うだけの仕事の人は、売る人のココロを知らず、売るだけの人は買う人のココロを知らないというわけです。
八百屋の店主がアルバイトを新たに雇って、店は見習いとバイトに任せて、自分は仕入れと大口の客への配達に専念するとします。
見習いは仕入れの仕事を覚えるのが遅くなりますし、大口の客への接し方もなかなな身に付きません。
店主も、小口の日々の買い物をする客の心理を忘れがちになりすし、店の雰囲気の変化も見逃し勝ちになるのです。
そうかといって、大金がからむ仕入れを見習いに任せるわけにもいかず、いろいろ悩むわけです。
さて、本題です。
見積のキホンという字を見て、積み上げ方や、あるいはFP法、またはスケジューリングの技術と思った方は残念ですがここでお引き取りください。
ここまで読んだら、見積の極意は書かなくても分かると思います。分からないなら、本当に見込みなしです。
基本のキだけ教えて差し上げましょう。
まず最初の打ち合わせでは、相手の知らないことをドーンと知らせてサプライズ。
規模や納期についてはほとんど知らせません。『まだ決まってない』とだけ言います。
次の打ち合わせでは、ぼんやりした構想だけ知らせます。で、目標納期-1ヶ月と想定価格の4分の1くらいの予算を提示します。
半年目標なら5ヶ月ということです。3,5、7,9ヶ月の納期の仕事はほとんどの場合、-1ヶ月の効果です。こんな基本的なことも知らないでよく見積もり作業をやってるよな、と思います。
最初に出してきた見積に対しては、コテンパンにコキ下ろします。
次の見積に対しては、そこそこ満足した風を装います。
たぶん相手が素人なら、(間抜けなことに)相当無理をしてコストダウンした結果を持ってきますから、ここで無理を重ねるとあっさりあきらめて帰ってしまいます。
せっかく4分の1の予算でやると言っているカモネギをタダで帰したらもったいないですからね。
ただし、キモの部分だけはきっちり指摘します。ふつうにやれば何十人月もかかるシロモノなんですが、目の前のえさにつられてあっさり飲んでもらえます。
とまぁアイミツを取ってなくてもこれで予算を低く抑えることが出来ます。後でこの見積もりをもってウロウロすればさらに半分になります。
どこかでデスマかサービス残業の山が築かれるトリガーがまさにこれなわけですが。
品質がどうとかアジャイル開発手法がどうとか言ってる青白い顔をした連中は、ただの頭デッカチで、怒鳴りつければ次から出てこなくなるか、黙って座っているだけになります。
カネのやりとりをするということは命のやり取りをするということで、そんな現場ではパワハラも何もありません。
生ぬるいことを考えている奴が紛れ込んでたら見透かされて一喝され、おしっこちびって退場ですよ。
システム屋なんて所詮は素人の集団で、家電量販店で値切った経験すらない連中です。値切り方を知らないのですから、自分が値切られたことにすら気付かないのでしょう。
手玉に取るどころか話が通じなくてイライラするばかりだと、どこぞのエライ人が言ってました。
何にイライラするかといえば、ビッグな仕事を持ってきてやってるのに、うまい飯にも誘ってくれないし、キックオフミーティングにパニオンも呼ばない。
『こいつらクラブ活動かなにかのつもりか?』とおっしゃってました。

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