電気回路の話が通じないことが多くて面食らうことがあります。
古いモデルのラズパイではボード上のUSBポート数が少なかったので、USBハブは必須でした。
つまり、
- ラズパイにUSBデバイスを接続するために用いるUSBハブ
です。この場合、USBの用語を使えばラズパイはUSBホストです。
次に、ラズパイへの給電にUSBハブを用いることも多いです。
ACアダプタ付きのUSBハブなら、ラズパイに電源を供給することができました。つまり、
- ラズパイにmicroUSBで電源を供給するために用いるUSBハブ
です。
数年前、ラズパイの仕事を請けたときに面食らったのが、
- USBハブからラズパイに対して給電しつつ、ラズパイのUSBに同じUSBハブを接続する
という使い方です。当然のことながら、
これって、ダイオード入っているハブですか?
と確認したのですが、返ってきたのは、
ダイオードが入っているかは知らんけど、
ハブによっては使えないこともある。
という華麗な経験則でした。
私は実務開発では以下の原則を守るので、そんな使い方は思いつきもしませんでした。
原則とは、
- ボードの電源は安定化電源から取る
です。たまに「ボード付属のACアダプタが最も信頼性が高い」などと嘯く人がいて、対応に困ります。
今時のACアダプタというのは、国内メーカーの付属品であっても、ミスミあたりのカタログで、深く考えられずに選定されたものです。
もちろん、その品質は担保されたものでしょうが、開発業務の用に足るかどうかは、よくよく検討した方が良いでしょう。
いまさらスイッチング電源をシリーズレギュレータ型の電源と比較してこきおろすようなことをするつもりはありませんが、ACアダプタと安定化電源の最大の違いは、入力電源の品質に対する耐力です。
企業の実験室や研究室の電源ならいざしらず、カーペットの掃除もロクにされないような悪い意味でいい加減なオフィスビルの商用電源で、評価ボード付属のACアダプタを使っていたら、時々誤作動するのは当たり前だからです。
"まともな"企業のQA/テスト部隊は、ACアダプタで仕事していないです。それは簡易的な作業または、「ACアダプタも含めたユーザ環境の再現」に限られます。
また、正式のハウジングに入っていない状態の基板も、評価の対象外となります。外来誘導ノイズで簡単に誤動作するからです。
ファーム屋さんというはその辺も含めて「ファーム屋さん」のはずですが、自分の目や耳を疑うような話が実際にあるのに驚くことが多いです。
さて、ラズパイのUSBハブですが、給電とマウスキーボード接続用くらいのハブを供用するのであれば、以下のページに詳細な情報が集まっています。
https://elinux.org/RPi_Powered_USB_Hubs
ただ個人的にはこの手の「解って使えば大丈夫」と言うやり方は、見た目を真似するだけの「解ってない人」には誤った情報を与えてしまうことになりかねないのでやめた方が良い気がします。
そもそも「ちゃんと解っている人」なら安定化電源を使うはずです。
子供の教材のために安価なラズパイを使うのに、高価な安定化電源を用意できない、などという学校があるとしたら、きっと安全ゴーグルや、ESDバンドなども用意しない"危険が危ない"学校でしょう。
繰り返しになりますが、ラズパイのUSBポートにHDDやSSDを接続してバスパワー給電するためにUSBハブを経由することは問題はないはずです。
これまた冗長ですが、
- ラズパイでUSBハブを使ったら回路的によくない(ただし大抵は動くけど)
というのはミスリーディングなので、そう言う説を"解らずに"広めるのはやめた方が良いと言うことです。
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