リーナス・トーバルズ氏、LinuxのGPLv3移行に今なお反対
外野からは、FSFとリーナスさんの鞘当にしか見えませんね。気になったのはGPLv3の話ではなくて、以下の部分です。
「モバイル製造企業は、使い捨てにするコードを書き、次の世代がやって来るとまた一からやり直すという流れに慣れきっている。このため、ハードウェアには複数の世代が何年も存在し、企業は以前の世代のサポートも続けざるを得ない。にもかかわらず、次世代へ移行することが決まると、彼らは作業を再び最初から始めるのだ」(トーバルズ氏)
痛烈ですねぇ。ですが、不思議なことにeWeekの原文へのリンクがデッドリンクになっています。
仕方がないので元ネタ探しです。これが大変でした。とにかくまぁ見つけた元ネタぽい記事はこれです。
http://linux-foundation.org/weblogs/openvoices/linus-torvalds-part-i/
上記の邦訳に対応しそうな部分は以下です。"mobile manufacturers"くらいで検索しないとたどり着けないでしょう。
Linus Torvalds: I think the big problem in the mobile world tends to be that the whole market– is so used to being completely fragmentary. Everybody makes, , these one-off pieces of hardware; they’ve done it for the last few decades, they’re very used to basically writing throwaway code and starting entirely from scratch when the next generation is – comes out.
So, they may have generations of hardware for – that go on for many, many years and they support that generation, but then when they finally decide to do another generation, they basically start from scratch.
And when you come with that mindset, you sometimes – as far as I can tell, people don’t even understand the notion of trying to work with the process and trying to get integrated into the standard kernel or the standard utilities because that’s never how they worked before.
ようするにこれはインタビュアのゼムリンさんが、かつてはLinuxはサーバー用途で多く使われたが、最近はデスクトップだけでなく、モバイルフォンや組み込み製品に広く使われるようになってきたことに触れて。
As you see this, you know, more embedded and mobile devices use Linux, any impact on the kernel at all from a technical perspective?
と訊いたことに対する答えなんですね。その後にドライバのABIについても訊いているようです。まぁどうでもいいことです。
さて。
組み込み屋さんの、使い捨て文化は今に始まったことではないですよ。RedHat(Cygnus)だってeCosをどこかの倉庫にしまってしまいました。またしょっちゅうOSを切り替えます。同じ製品ラインが継続していても、です。そこら辺は世界のどこでも同じじゃないですかねぇ。山のように使い捨てられてきました。ただそれは世間に出てこないだけの事で。
組み込み業界ではいろんなものの供給の都合で、チップやプラットフォームをじゃんじゃん更新し続けるプレッシャが常にかかっているものなんです。
CPU供給メーカは、お得意様にこそ最新のCPUを使ってもらう約束を取り付けて、予定生産個数を確保したい。プラットフォームベンダはCPUの主流が切り替わる前にユーザを次世代プラットフォームへ誘導しないと、ニッチ業者に成り下がってしまう。
ソフトウェアのみの技術者には分からないかもしれませんが、組み込みではこのほかに、ASIC(ASSP)ベンダ、FPGA/CPLDベンダ、通信機器のアナライザ、(JTAG)デバッガ、ソフトウェアシミュレータなどが、大木に巻きつくツルやツタのように絡み付いているのです。
なんでもよそから買ってきてものを組み立てるといわれる海外のものつくりであっても、何を買ってくるかは何が売られているかで決まります。いくら特定プラットフォームに固執しようとしても、売ってなければ自社の製品に組み込むことはできないのです。
皮肉なことですが、なんでも自社(または自グループ)で調達できてしまう日本は、リーナスさんの批判の逆を行く開発を長年続けてきていたのかもしれません。何が皮肉かと言うと、日本の組み込みのビッグプレイヤがこぞってLinuxに手を出したことによって、Linuxの頭領から批判される有様におちぶれているかもしれないという点です。なんとも皮肉じゃありませんか。
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